形と中身

決めごとが守られるのは、ある程度納得できて、自制可能な間だけ。

決めごとというのは、規則や法律、条約、連合や連盟の決議などのこと。
何一つ問題が起きなければ、決めごとは一切不要。問題が多いと決めごとも多くなる。

決めごとは、平常時には役に立つが、どうしようもない対立の時には、役に立たない。
なぜなら、今のところ、紛争解決の最終手段は武力行使しかないからです。
危機に瀕した時は、自分を守ることだけで精一杯。他人がどうなろうと関係なくなる。
自分の身を守ることに専念するようになると、決めごとなどないに等しくなる。
正常な細胞が突然癌化した時と同じ。一気につながりが切れて破滅に向かいます。
恐怖心が我慢の限界を超えるとパニックになり豹変します。生き物は皆そうです。
いくら知恵が増えても、動物的感情は昔のまんま。最終的に、知恵は感情に勝てない。
知恵で美しく着飾っても、心の本性は隠せない。人は全く進化していない。

土壇場に追い込まれると、法律や条約も無視、連合や連盟も分裂。約束は反故にされる。
所詮、人が決めたものは、人によって破棄される。都合よく破棄される。意外と脆い。
約束を守る正当性が主張される一方、約束を破る正当性もたくさん主張されます。
正当性はその時々によって変わる。コロコロと都合よく、場当たりでひっくりかえる。

権力統治によって決めごとが守られ、表面上、秩序が保たれている間は、まだまし。
権力側が決めごとをコロコロ変えてくると、破滅に近づいています。
形は崩れ始めると速い。

決めごとは守らないといけない。ただ、人の決めた事柄に絶対はない。
決めごとは形。
形は中身によって崩れていく。作り直しても、また崩れます。

決めごとは、互いの信頼関係や強制権力によって維持される。
信頼の欠如や権力にほころびが生じたら、決めごとの意味は失せてしまう。
豚に真珠を与えても、豚は喜ばない。暗黙の了解、信頼という要素はとても大事なんです。

形もそれなりに大事ですが、それ以上に大事なのは中身です。
コロコロと変わらない中身です。