表現の限界

あまりにも短い出来事には、思考はついていけない。
よくお相撲さんが自分の取り組みを覚えていないことがありますが、このためです。
思考はいつも少し遅れる。瞬時な出来事は捉えられません。人は人の能力の範囲内でしか捉えられないからです。
「先」とか「後」とかという風に、「言葉」で捉えるのは、思考の働きによって行われています。
思考以前の段階で、動きを感じるわけですが、それを言葉で表現しようとすると、時間が加わってきます。
思考は、そのものを表現しようとしますが、そのものを表現しきれない。
食べたものの味を、言葉で正しく人に伝えられないのと同じです。
正しく表現することは、ほぼ不可能です。

ファクトを思考で捉えても、その時点でもうファクトでないんです。
ファクトはその時限りなんです。思考は後追いだから、いつも間違いが生じてしまう。
言葉で正確に表現することは、ほぼ不可能なんです。