木を見て森を見ず

「木を見て森を見ず」という言葉がある。逆もあります。

例えば、人を細胞単位でばかり見ていると、人間像が見えてきません。
それなら、どの単位で見ればいいかというと、普段見ている単位が最もわかりやすい。
細胞単位では、何が起きているか分からない。自分の体のことでさえよく知らない。
つまり、分かりやすいものは、分かりにくいもので構成されています。
このことは大事です。このことを知ることが大事です。知らないことはあまりにも多いからです。
人の体に住み着く菌や虫、それぞれ勝手に動いているようで、全体のためにもなっている。
全体のためではなく、全く自分だけのためだけに働くようになると、癌細胞のようになってしまいます。
本来、個は全体のために動いています。気づきにくいだけです。

気づきにくいが故に、自分が果たして全体のために動いているのか、それとも癌のように動いているのか判別できません。
突然、全体のために動いていたものが、自分だけのためへとスイッチが切り替わることもあります。
しかし、その切り替わったこと自体、自分では気づけない。
見る人が見れば分かりますが、本人には分からない。そういうものです。
実に厄介です。
元々知らなかったものが、変に知るようになった時、こういうことが起きてしまう。